Kiss, one more time




 春間近とはいえ、このところ、寒の戻りと言うべき気温の低い日が続いている。
 身を切るような空気の冷たさにほんの少し肩を縮ませながら、悟浄はいつもより少々早めに賭場から帰宅した。
 それは、この冷え込みでめずらしく風邪を引いてしまったらしい同居人を密かに心配してのことだ。今日は特に調子もよくなさそうだったから、本当は夜に出掛けないで彼――八戒の傍についていようかと思ったのだけど。
 どうやら、そういう気の遣われ方をすることをあまりよしとしない八戒に、無理やり追い出されてしまったのだ。自分のせいで悟浄が出掛けられないのは、どうにも心苦しいらしい。
 悟浄がいたくているわけだから、別にいいのに。
 と、思うものの、自分がいないことで八戒が気に病むことなくゆっくり出来るのであればそのほうがいいか、と。そう思った悟浄は、思い切り後ろ髪を引かれつつも、夕方から馴染みの賭場へと向かった。
 常ならば、ひとたび賭場へと出向いてしまえば、日付が変更してもなお数時間後にしか家には帰らない。けれど、今日はどうにも彼の様子が気になって、どうせ集中出来ないのならばと、早々に賭場を後にした。
 そして、八戒がちゃんと身体を休めていることを願いつつ、玄関の扉を開けたものの。
「お帰りなさい。随分と早いですね」
 玄関を開けたらすぐの居間兼台所の食卓前の椅子にちょこんと腰掛けいつも通り読書をしていた八戒から、これまたいつも通りにこやかに挨拶をされて、悟浄はほんの少しだけ眉間に皺を寄せた。
 ……やっぱり。
 悟浄の予想通りというかなんというか。
 おそらく、おとなしく寝てはいないだろうとは思っていたものの、あまりにも予想通りに八戒が普通に過ごしていることに、悟浄は内心で深く嘆息した。
 自分の体調に対して無頓着というか、はたまた過信しているのか。
確か、昼の段階では多少熱も出ていたように思うのに、それでもこうして休むことなく通常通り過ごしている八戒に多大な呆れと脱力感を覚えつつ、そしてやはり心配してしまうのだ。
 悟浄も、今度はこれ見よがしに大きくため息をついた。そんな悟浄の姿を、八戒が困ったように見つめ返してくる。
「お前……風邪、引いてんじゃねえのかよ?」
「ああ、薬を飲んだから大丈夫ですよ。コーヒーでも淹れましょうか」
 悟浄を煙に巻く笑顔でその言葉をさらりと流し、八戒はおもむろに立ち上がった。そして、すぐ傍に位置する流しへと向かう。
 悟浄は彼に気づかれないよう、目を細めながら軽く息を吐いた。
 あいかわらず、はぐらかすことにかけては天下一品。こうなると、悟浄もとりあえずは流すふりをするしかない。
 それでも、横目でちらちらと八戒の姿を追いながら、悟浄は羽織っていた皮ジャケットを近場にあるソファへと投げ、食卓の椅子に腰掛けた。この位置のほうが、台所に立つ彼の姿をよりよく見ることが出来るからだ。
 片肘を食卓について掌に顎を乗せた姿勢で、コーヒーサーバーを手にしている八戒の動作をじっと見る。途端、悟浄はすぐに違和感を覚えて、大きく眉をしかめた。
 彼の身体が微妙にふらついている。
 悟浄は苦々しく舌打ちした。そんなに具合が悪いのなら、無理をしなくてもいいのにと、胸裏に苦いものが過ぎる。
 悟浄はすぐに立ち上がり、八戒の傍まで歩み寄った。突然横に立った悟浄を、八戒は驚いた顔をして見つめてきた。
「悟浄?」
「……ふらついてンけどマジで大丈夫なのか?」
 思ったよりも硬い声音になってしまった。彼の額に手を当てながら、悟浄は神妙な面持ちで訊ねる。
 掌で感じる彼の体温は、いささか高めのような気がした。
 悟浄の行動に一瞬目を丸くした八戒は、それでもすぐに微苦笑を浮かべる。
「しんどいとかそういうのではなくて、ちょっと眠いだけなんですよ」
「眠い?」
「ええ。風邪薬の中には眠気を誘発する成分も含まれていてですね。……久しぶりに風邪薬なんて飲んだから、多分それがしっかり効いてて、それで眠いんだと思いますよ。だから大丈夫ですって」
 ――薬の副作用で眠気がある状態の、どこが大丈夫なんだっつーの。
 悟浄は心底呆れた。あまりに呆れたので、思わず正直に顔に出してしまったほどだ。
 そんな悟浄の表情の変化に、八戒はただ苦笑を深めただけで、そのままコーヒーを淹れる作業を続行する。
 どこまでも自分の不調を認めたがらない八戒に、悟浄のほうが先に切れた。
 す、と、紅瞳を眇めると、八戒がマグカップにコーヒーを注ぎ入れて空になったサーバーを流し台へと置いたのを確認してから、いきなり彼の腰と膝裏を掴んで一息に抱え上げた。
「う、わ!」
 あまりにも唐突に身体を横抱きに抱え上げられ、八戒は頓狂な声を上げた。
 悟浄は口許をむっつりと引き結んだまま、不安定な腕の中の痩躯を少しでも安定させるべく、ほんの少し抱き位置を調整する。いわゆる「姫抱っこ」という体勢で落ち着かせて、いまだ腕を宙に浮かせたままの八戒を至近距離で見つめた。
「おい、危ねえから、ちゃんと腕、俺の首に回しとけって」
「危ないからって、貴方ねぇ……。いきなり抱き上げるほうがよっぽど危ないですよ」
 ――しかも、こんな抱き上げ方で……。
 八戒は少々目許を紅潮させて、じろりと悟浄を睨んだ。不安定な己の身体を落ち着かせるべく、いそいそと、悟浄のしっかりしたつくりの首許へと両腕を回してくる。
 けれど、そんなふうに照れた顔を見せられては、かえって悟浄がつけ上がるだけだと判っているのだろうか、彼は。
 悟浄はわずかに片眉を跳ね上げた。そして、にやりと口許を緩める。
「こうでもしないとお前、自分じゃ動かねえだろ? だから、俺サマが運んでやるって」
「……運んでって……まさか」
 悟浄は軽々と痩身を抱えたまま、居間を抜けてまっすぐに八戒の部屋へと向かった。
 そこで悟浄が何をしようとしているのか悟った八戒が、慌てたように腕の中で微かにもがく。
「ちょ……っと、悟浄。いいですって」
「よくねえよ」
「コーヒー、冷めちゃうでしょう?」
「……お前なあ」
 どこまでも往生際の悪い男である。
 悟浄は眉間に寄せた皺をさらに深めた。そして、いきおいよく八戒の部屋の扉を開ける。既に八戒のベッドで寝ていたジープが、びっくりして飛び起きた。
「悟浄! ジープが起きちゃったじゃないですか」
 八戒の非難の声は綺麗に無視して、悟浄はつかつかとベッドの前まで歩いた。何事かとベッドの上でキョロキョロと細長い首を振っている白竜を、じっと見下ろす。
「ジープ、八戒の具合が悪ぃから、今日はお前、別の部屋で寝ろ。いいな?」
 賢い白竜は、悟浄の言葉の意味をすぐさま理解したらしい。きゅう、と了解の合図とばかりに一鳴きしてから、すぐに部屋から飛んで出て行った。
 そのさまを、八戒は唖然とした貌で見ていた。だが、ジープの姿が見えなくなった途端、きつく悟浄を睨めつける。
「もう、何もジープを追い出さなくても」
「いい加減に黙れって」
 悟浄は八戒を横抱きにしたままの姿勢で、ベッドへと腰を下ろした。
いくら八戒の体重が標準よりかなり軽いとはいえ、自分とほぼ同じ身長の同性を抱え上げるのはそれなりに難しい。たかが十数歩の距離ではあるが、楽々というわけにもいかず、悟浄は腰を落ち着けてからやれやれと肩を落とした。
 それでも、すぐには彼の身体を目の前のベッドに横たえることはしないで。ただ無言で、八戒を己の膝上に座らせたまま。横抱きの姿勢でぎゅうぎゅうと痩躯を締め付け、己の腕にいとしい男を閉じ込めたままである。
 悟浄の腕の中で、八戒が困ったように身じろいだ。
「……悟浄」
「ん?」
「……どうしたいんですか、貴方」
 いつまでたっても抱擁を解かない悟浄をいぶかしんでいるのか、ほんの少しだけ目線が高い位置にある八戒が覗き込むように見下ろしてきた。
 悟浄は、くすり、と口の端を上げた。ちゅ、と、眼前の色っぽい唇へとキスを贈る。
「ホントはお前をちゃんと寝させてやんないとなー、って思ってんだけど、この状態って俺的にはすっげえオイシイわけよ」
「……はぁ」
「だから、ここまで運んだ役得が少しくらいあってもいいんじゃねえ?と思って、それでタンノーしてんの」
 ――お前を。そう告げると、目に見えて八戒の頬に朱が走った。
「よくもまあヌケヌケと……。それに僕、頼んだ覚えはないですが?」
「お前が黙って言うコトを聞くような奴なら、こんな強引にはしなかったけどな」
 その言葉に、八戒は静かに押し黙る。わずかに眉宇をしかめた彼の眉間に、悟浄はさらに軽やかなキスを落とした。
「ま、ちょっとだけ、な。で、後はおとなしく寝ちまえ」
「悟浄」
 ふいに、八戒の口許に微笑が浮かんだ。どちらかというと含み笑い全開とも取れる微妙な笑みに、悟浄はぎくりと身を固くした。
 彼がこんな笑みを刷いた時は大抵強烈な反撃――それは口だったり手だったり、その時その場に応じてではあるが――が返ってくる徴のようなもので、悟浄は一瞬目を瞠る。
 が、しかし。
 ふと、己の額のあらわになっているところに、柔らかくてあたたかなものが触れた。すげえ気持ちいい、と、悟浄がうっとりしかけたところで、それが八戒の唇だとようやく気がつく。
 悟浄は慌てて目を見開いた。
 己の額に、八戒がキスをしてくれているのだ。
 ……なんだかとても面映い。
 滅多にないシチュエーションに、悟浄は柄にもなく照れたように顔を赤くした。そのさまに気づいた八戒が、ふわりと密やかに微笑む。
「……えっと、これはナニ?」
「お駄賃ですよ」
「は?」
 悟浄が目を丸くしている隙に、再び、八戒は悟浄の額へ柔らかな唇を寄せた。
 悟浄はますます慌てたように顔を紅潮させた。くすくすと喉を鳴らしながら、もう一度悟浄の額にキス。
 いとおしげに贈られる彼のその仕種に、悟浄の胸があからさまに激しく鼓動する。ドキドキしすぎて、頭の芯がくらくらするほどに。
 熱くなった身体の熱を逃がすよう、悟浄はほぅと深いため息をついた。眼前のいとしい男をゆっくりと見つめる。
「お駄賃って、ナンの?」
「だから、ここまで運んでくれたお礼に、です」
「……頼んだ覚えはないのに?」
「そういう言い方をしないでくださいよ……」
 どうにも拗ねた口調になってしまった。それを宥めるように、今度は悟浄の鼻先にキスが落ちる。
「せっかく悟浄が心配してくれたのに、僕も悪かった、って思ってるんですから」
「……八戒」
 小首をほんの少し傾げて見下ろすさまは、凶悪に可愛い。それが、悟浄を宥めるために八戒が意図的にしているのだと判っていても、だ。
 悟浄はここでようやく、調子を取り戻したかのように、にやりと口許に悪戯めいた笑みを刻んだ。ほんのわずかだけ八戒が瞠目した隙に、そのうっすらと開かれた薄紅色の唇を下から塞ぐ。
 最初は、軽く触れ合わせただけ。
 けれどすぐに、しっかりと唇を重ね合わせて。深く深く、貪るように口づける。
 時折、その唇を甘く食めば、重ねられた唇越しに八戒が微かに息を零すのが解る。
 それすらも余さず奪い尽くして。さらに、唇の隙間から舌を忍び込ませて、彼の甘くて熱いそれを絡め取る。
「……ん」
 わずかな隙間から零れる甘い吐息。
 悟浄はさらに角度を変えながら、その舌を甘く吸い上げた。途端、腕の中の彼が苦しげに身悶える。
 けれど、まだまだ逃す気はなかった。
 ぐい、と、細腰を己のほうへと引き寄せ、より深く口づける。己の熱いぬめりで、いつもより熱い彼の口腔内を存分に愛撫する。悟浄の激しい希求に翻弄されるがまま、八戒は縋るように、首に回していた双腕の力を強めた。
 互いの口角から溢れた透明な滴がゆっくりと伝い落ちる。その感覚にすら煽られるよう、悟浄の腕の中の痩身がびくびくと震えた。
「……は……ぁっ」
 長いキスを堪能して、悟浄はようやく、そっと口づけを解いた。かなりの長い口づけに酔ったのか、八戒は頬を真っ赤に染め上げ、苦しげに息を吐き出しながら悟浄の肩に額を乗せた。
「……もぅ」
 本当はもっと抗議の言葉を口にしたかったのだろうが、八戒は吐息混じりに漸うそれだけを口にした。
 とはいえ、その響きはひどく甘くて。悟浄はくすりと唇端を上げた。
 そして、その耳許にそっとささやく。
「俺もお礼、してみました」
「――え?」
 八戒が弾かれたように顔を上げる。その濡れた朱唇に、悟浄はちゅうと音を立ててキスをした。
「だから、八戒サンがお駄賃くれたから、そのお礼」
「……」
 悟浄がにんまりと笑えば、八戒は即座に呆れた表情を浮かべた。だがすぐに、苦笑ぎみに口許を緩めて、こつりと、悟浄の額に己のそれを重ね合わせる。
「……まったく。やりすぎですよ、あんなの」
「アレ? ヨくなかった?」
「……悦すぎて困るって、言ってるんですよ」
 八戒から返ってきた意外な言葉に、今度は悟浄が目を丸くする番だった。
 惚けた悟浄へ見せつけるように、八戒はあでやかに微笑んだ。それまで首に回していた腕を解いて、両手をそっと、掬い上げるような仕種で悟浄の両頬へと這わせてくる。
 ほんのりと熱い彼の体温を直に感じて、悟浄の身のうちの熱もぞくりと高まる気がした。
 己を煽ることにかけてはまったく容赦のない恋人に、心底まいっているのだ。それなのに、こんなふうにまるで誘いをかけられているように振舞われては、悟浄とて後には引けないのだけれど。
「あの、さ」
 悟浄は心底困ったように笑い返した。
「今マジで、このままここに押し倒してぇんだけど」
「……どうぞ?」
「どうぞって」
 あまりにもあっさりと返事がかえってきたことに、悟浄はますます困惑する。
 もちろん、これがいつもの彼ならば、悟浄とてわざわざ八戒本人に確認など取らずに、即行でその場に押し倒している。折りしも今はベッドに腰掛けているという、まさに据え膳状態である。これで食わぬは男の恥だ。
 しかし、今日の八戒は風邪を引いて、薬を服用したとはいえ体調自体はよくない。しかも、薬の副作用で眠いと言っていた彼をきちんと眠らせるために、わざわざ部屋まで運んだというのに。
 ここで、八戒に手を出せば、それこそ本末転倒だと思うのだ。
 そう思うくらい、悟浄にとって彼はとても大事な存在だった。だから、今は、無理はさせたくはない。
 悟浄は深々と嘆息した。そして、己の頬に掛かる彼の手を掴み、わざと離させる。
「悟浄」
 八戒が悟浄の行動を咎めるようにその名を呼んだ。悟浄はさらに苦笑を深めて、宥めるように彼の唇へとキスを贈る。
「お前、眠いんだろ? だから今はイイ。その分、後でたっぷりな」
「嫌です」
 八戒は己の掌を握る悟浄の手を振り切り、再び腕を伸ばして悟浄の首にしがみ付いてきた。
 ぎゅっと強く、悟浄を抱き締める。
「八戒?」
「僕をここまで煽った責任、ちゃんと取ってくださいよ」
 悟浄の耳許をかすめる彼の吐息が熱い。
 その熱をまざまざと感じ、悟浄はぞくりと身を震わせた。全身の血が逆流する心地がするほどに熱い。解りやすいかたちで、じんわりと熱が凝る。
 悟浄はそのうすい背中に、己の双腕を回した。さらに自分のほうへと引き寄せながら、彼の耳奥へと唇を寄せる。
 そして、互いの耳許で、ひっそりとささやき合う。
「熱、上がるかもしれねえぞ?」
「……いっそ汗でもかいたほうが、治りも早い気がしません?」
「スゲェ眠いんだろ?」
「眠気を吹き飛ばすほどのキスをくれたのは貴方でしょう?」
「……加減、出来ねぇからさ」
 ――勘弁、な。
 正直なところ、今の壮絶に色っぽい彼を前にして、病人だからと手加減出来る自信はまったくなかった。
 情けない話ではあるが、それならまだ理性の残っているうちに八戒から離れたほうがいいかと。悟浄はそうつぶやいて、自分からそっと抱擁を解こうとした。
 けれど。
 逃がさないとばかりに、八戒はさらにきつく、悟浄の頭をそのしなやかな両腕でしっかりと抱き込んだ。
「お前」
「貴方をもっとください」
 ささやいて、火照る身体を悟浄へと摺り寄せる。
「貴方でないと、この熱は治まらないから」
 密着した身体に、悟浄のわずかな理性すら一気に瓦解しそうなほどだった。身体が、そして神経さえも痺れる心地に、さらなる熱が広がる。
 こんなふうに求められて。
 こんなふうに抱き締められて。
 ――我慢など出来るはずもない。
 悟浄は観念したかのように、眼前の彼をいとおしげに抱き締めた。
「それなら覚悟しとけよ?」
 マジで手加減出来ねえから。そう、はっきりと断言した悟浄に向かい、八戒は挑むように、嫣然と微笑む。
「……のぞむところですよ」
 そして、とどめとばかりに、悟浄へと顔を寄せて口づける。悟浄もまた、それに応えるべく自ら口づけを深めた。
 キスを交し合ったまま、いとしい痩身をゆっくりとベッドに横たえる。上から覆い被さるかたちで、激しいキスをくり返した。
 深まる口づけに、互いの熱情がよりいっそう高まるのも時間の問題で。
 悟浄の首に回っていた八戒の腕が、もっと、と云わんばかりに自分のほうへと引き寄せようとする。
 より密着した身体から立ち上る色香にくらくらしながらも、悟浄は陶然と笑った。そして、より深く、八戒の甘い唇と口腔内を貪る。
 己の下で溶けていく艶やかな媚態を堪能しながら、悟浄もまた彼自身にのめり込んでいった。






 もっともっと、キスを交し合うために。
 もっともっと、触れ合うために。

 いとしい彼のすべてにキスしたい、その心のままに。








FIN

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